🪶ビンズイ(道東の野鳥図鑑)

ビンズイ (Anthus hodgsoni / Olive-backed Pipit)

分類

  • 目・科・属:スズメ目 セキレイ科 タヒバリ属
  • 学名:Anthus hodgsoni
  • 英名:Olive-backed Pipit

特徴

背面がオリーブ褐色で、胸から脇にかけて明瞭な縦斑が入る小型のタヒバリ類。顔は淡色で 眉斑(目の上の線)がはっきりし、耳羽の後ろに暗色の「頬線」が走るため、顔つきがくっきり見えます。 脚は肉色〜淡桃色、嘴は細くやや長め。樹上にとまることが多く、枝先や低木の間で 落ち着きなく動く所作が目立ちます。

生態・食性

主に林縁や疎林、湿原周縁の草地に生息。地上を小走りに移動して昆虫やクモなどの小動物を採食します。 危険を感じると樹上へ逃れ、枝の上で体を上下に揺する仕草(タヒバリ類に共通)を見せます。

季節性(道東目安)

  • 春:通過個体を各地で観察。林縁や公園でも一時的に見られる。
  • 夏:高標高地や冷涼な林で繁殖。
  • 秋:渡り個体が増え、湿原周辺のヤナギ類や低木帯で観察機会が多い。
  • 冬:少数が越冬することもあるが、観察頻度は低い。

鳴き声

地鳴きは鋭い「ピッ、ピッ」。飛び立つときに短く発することが多く、群れでは連続して聞こえます。 さえずりは細かく抑揚のある高音で、樹上や上空で囀ることもあります。

識別ポイント

  • 眉斑が太く明瞭で、耳羽後方に暗色線=顔のコントラストが強い。
  • 背面はオリーブ褐色で均一、翼帯は淡色で弱めに見える。
  • 胸~脇の縦斑がはっきりし、腹中央は比較的淡い。
  • 樹上にとまる頻度が高く、枝間を素早く移動。

似ている種との見分け方

  • タヒバリ:全体に灰褐色で寒色寄り。眉斑が細く、背のオリーブ味が弱い。開けた草地での地上採食が中心。
  • マミジロタヒバリ:眉斑が白く太く、胸斑もより強めで大柄に見える。出現はまれ。
  • セキレイ類:尾がより長く、体型もスマート。白黒のコントラストが強い(ハクセキレイなど)。

観察・撮影のコツ

  • 秋は低木帯の実りや昆虫が多い場所(ヤナギ・ハンノキ帯の林縁)が狙い目。
  • 枝かぶりが多いので、シャッタースピードは1/800秒以上、AFは「単点+動体追従」推奨。
  • 地鳴きが聞こえたら、樹上へ視線を移して枝先を丁寧にスキャン。

撮影地メモ

温根内(2025年秋)。湿原周縁の低木帯で複数個体を確認。朝夕の斜光時は逆光になりやすいので、 露出は+0.3〜+0.7EVの補正が安定。背景が黄緑〜黄葉で温かい色味になるため、色温度は5200–5600Kが目安。


📸 写真ギャラリー


🔗 関連リンク